発明は自分で商品化するのが商品化への唯一の近道
発明を膨大な企業に売り込んできた体験から
 
 私は発明家を志して25年、これまでに様々な発明を、様々な業種の多くの企業に売り込んできました。
 
 その間には、発明を売り込む手紙を様々な企業の社長に宛てて、通算して6000通ぐらいは出しました。
 
 その上、これまでに、何人もの新聞記者が、私の自宅に私の発明の取材に来て、私の発明が専門紙や一般紙の新聞記事に写真入りで八回以上成りました。
 
 しかし、いまだに、私と契約を結んで、私の発明を商品化するという企業は一社も現れません。
 
 その結果から、どれほど巨大な利益を生む可能性が有る発明でも、その発明のレベルが高ければ高いほどに、企業で商品の企画開発をしている社員や技術者に妬まれ敵意を持たれるだけで、発明を売り込んだ企業で商品化される可能性はゼロに近いと思います。
 
 従業員が数人、あるいは、十人、二十人程度の企業でない限り、社長自らが発明の採否を検討することは無く、ある程度以上の規模の企業では、発明を企業の社長に宛てた手紙で売り込んでも、その手紙が、その企業で商品の企画開発をしている部門に回されて、その部門に発明の採否の検討が一任されます
 
 売り込んだ発明のレベルが高ければ高いほどに、企画開発をしている社員や技術者のライバル心をかき立てることになり、その結果、企画開発をしている社員や技術者に、妬みと敵意を持たれて商品化を反対されるだけです。
 
 企業への発明の売り込みの結果から、企業で企画開発をしている社員や技術者にとっては、己の存在意義を問われかねない社外の発明の商品化など出来ないが、もし、その発明が他で商品化されて大々的に普及したときの責任を恐れて、姑息にも様子を窺っているのがよく分かりました。
 
 もし、経営者に、社外の発明でも受け入れる気が有るのであれば、その検討に社長を始めとする経営側の人間が加わって、最終的な結論を経営側の人間が出すのでない限り、無能な社員にアイデアを盗まれることはあっても、発明者にロイヤルティーが支払われる形で商品化される可能性はほとんど無いと思います。
 
 以前に、NHKのテレビ番組の中で、現状では発明を企業に売り込んでも、その企業の中で必ず商品化に反対する意見が出るので、発明が企業に受け入れることはほとんど無い。そこで、間に仲介者を入れて、出来るだけ畑違いの企業に持っていく試みが有ると紹介されていました。
 
 前記の「発明を企業に売り込んでも、その企業の中で必ず商品化に反対する意見が出る」との文言は、私のこれまでの実体験から言っても、その通りだと思います。
 
 
発明は非常によく売れるとの本もありますが
 
 発明を奨励する市販の本の中には、「近年、発明は非常によく売れます」「簡単なアイデアでも買い手が沢山あります」「権利に成らないような発明でも企業が間違って買うことも有ります」などと、発明が簡単に売れて、発明家にはバラ色の未来が有るかのような印象を読者にもたせる本が、間々見受けられます。
 
 しかし、発明家を二十数年やってきて、これまでに様々な発明を、様々な企業に売り込んできた実体験から言って、「発明は非常によく売れます」との文言は、無責任極まりない大嘘だと思います。
 
 その事は、発明を企業に売り込んだ経験のある方であれば、少なからず実感していると思います。
 
「発明は非常によく売れます」との喧伝は、発明を奨励する本を執筆した著者の生業に付随した、著者の都合による喧伝であり、実態とは相当に懸け離れてい、発明家を志す人々に、発明の商品化に対する安易な考えを持たせることになるのではと懸念しています。
 
「発明は非常によく売れます」との文言を信じて、自分で商品化できないような大きな資本を要する発明をして、数十万円の費用を払って弁理士に特許出願を依頼した上で、商品化される可能性など皆無に近い企業に、発明を売り込み続けるという、膨大な無駄をする人もいるのではと思います。
 
 また、前記のような本には、発明を買う(知的所有権を借りる)という企業が数多く紹介されていますが、経営者はともかく、その企業で商品の企画開発をしている社員や技術者には、自分達の無能さを、会社の上層部に晒け出すことにも成りかねないような、外部の発明を借りる気など更々なく、売り込まれてきた発明を商品開発のヒントにして(率直にいえば、アイデアを盗んで)、あわよくば、自分達の手柄にしようという気しかないと思います。
 
 前記のような本には、発明が企業に売れた成功例が紹介されていますが、何冊もの本に、同じ成功例が繰り返し繰り返し登場します。その裏を返せば、それだけ成功例が少ないということだと思います。
 
 
膨大な企業に発明を売り込んできた私の結論
 
 大きな利益を生むような素晴らしい発明であれば、商品の企画開発をしている社員や技術者が、妬みや敵意などの私情を捨てて、企業の利益のみを考え、社外の発明でも商品化する企業が何処かに有るだろうとの思いも有りましたが、現実には、そのような度量の有る人間ばかりの企業は、島国の上に小さな小さな人間ばかりの日本では皆無です。
 
 現状では、日本の企業に発明を売り込んでも、そのアイデアを無料で提供することになるだけで、無能な企画開発担当者や技術者に企画開発のヒントにされたり、アイデアを盗まれたりするのが落ちだと思います。
 
 米国の膨大な数の企業にEメールを出して、それに対して返ってきた何百通ものEメールでの、米国人の率直な驚きや賞賛の文言と、この二十数年間、日本での発明の売り込みで体験してきたこととでは天と地ほどの差が有り、あらためて日本人の了見の狭さを痛感し、日本の企業には発明の商品化を望めないと思いました。
 
 もし、私が、小さな小さな人間ばかりの日本ではなく、人の才能を素直に認める度量の有る人の多い米国に生まれていたら、いつかのとっくに、私の持つ様々な発明が米国発で世界中に普及して、何百億ドル、何千億ドル?、・・・・・?というような巨万の富を得ていたと思います。
 
 なお、日本の製造業は、大手メーカーを頂点とするピラミッド構造に成ってい、日本の企業の大部分が、大手メーカーの下に連なる一次下請け、二次下請け、三次下請けなど工賃仕事だけの下請け企業です。
 
 そのような下請け企業の多くが「メーカーの系列」であり、自社商品を開発する自由も、能力も、意欲もほとんど無く、希に有ったとしても、知的所有権に対する使用権料を支払ってまで商品を開発する気は無く、下請け企業に発明を売り込んでも無駄だと思います。
 
 上記のような現状に鑑みて、私は、『発明は自分で商品化するのが確実な近道』であるという結論に至りました。
 
 元々、特許は、自分が苦労して発明した技術や発想を、他に真似されない為の防衛手段であり、本来、自分で商品化できる発明をして、それを自分の手で商品化するのが筋だと思います。
 
 これまでに、発明を企業に売り込む為に費やした、多大の労力と時間とコストを振り返ってみて、ほとんど可能性の無いことに、なんと無駄なことをしたものかと思います。
 
 それだけの労力と時間とコストを、発明を自分で商品化することに費やした方が、どれほど有意義で、発明の商品化の近道だっただろうかと後悔しています。
 
 上記のような実態を信じる、信じないは読んだ人の判断に任せます。
 
 
発明者の手による発明の商品化
 
 自分で発明を商品化することを前提にすると、とりあえずは、発明者が無理なく使える資金で商品化できて、より大きな利益を生む可能性の有る発明をすることに、心血を注ぐのが得策だと思います。
 
 発明が必ず当たるとは限らないので、無理な投資をするよりは、頭を絞りに絞るのが先決だと思います。頭は幾ら使っても磨り減ることはなく、アイデアを多く出せば出すほどに良いアイデアが生まれると思います。
 
 先進国では、生活に不可欠な物は元より、教養、娯楽、趣味、嗜好などに供する物も、既に、多くの家庭に満ち溢れてい、人々は何処ででも手に入る在り来たりの物には食傷気味であり、既に持っている物と機能的にも、能力的にも大差ない、ただ目先を変えただけの物を手に入れる為に、無駄な金銭を支出することを望まない人が増えています。
 
 また、昨今では、本当に必要な物だけを、出来るだけ安く入手することを考えるとともに、自分の価値観に合った物であれば、多少値の張る物でも出費を厭わないという人が沢山います。
 
 先進国では、消費は美徳などと言う発展途上国的な価値観は、既に過去のものとなってい、未だ使える物を買い換えることによって、それが新たなゴミを発生させ、そのゴミの処理によってダイオキシンなどの有害物質や燃えがらが発生して、環境を汚染するとともに、限りある資源を浪費することになることを、多くの賢い消費者が認識しています。
 
 現在、市場経済の国際化や人々の価値観の変化により、旧来の、資本力にものを言わせて、同一の商品を大量生産し、それを大量販売して、その規模の効果によってコストダウンを追求するような商売には、行き詰まりが見えてきています。
 
 これからの時代は、多品種少量販売の個性化の時代であり、量産効果によるコストダウンは余り望めませんので、これからの商品には、多少高くても消費者に納得して買ってもらえる「セールスポイント」が必要であり、どのような商売でも良いアイデアなくして成功はおぼつかないと思います。
 
 逆に、これからは、優れたアイデアさえ有れば、資本力が無い個人にも成功するチャンスが大いに有り、アイデア次第では大躍進の可能性も有ると思います。それには、一にも二にも優れた発明をすることが肝要だと思います。
 
 
インターネットは発明家にとって有力な武器になる
 
 新聞や雑誌などの広告媒体を使って宣伝するには、可成りのコストが掛かり、また、様々な制約が有りましたが、近年、急速に普及してきたインターネットを利用すれば、ほとんどコストを掛けずに自由に宣伝でき、更に、語学力が有れば海外にも宣伝できます。
 
 インターネットを利用したビジネスでは、大都市の一等地に拠点を構える大企業も、田舎の個人商店も同じ土俵にあり、資本力の大小ではなく、人々に提供する商品(発想・知恵)や、サービス(発想・知恵)の良し悪しが優劣を決めます。
 
 たとえ、経済力に物を言わせてインターネット上に広告を出しまくっても、扱うネタそのものに魅力が無くては大きな成果は望めません。
 
 従来、新聞や雑誌にカラーで広告を出すと相当な費用が掛かり、また、細かな掲載基準が有ったり、掲載までに日にちを要したりしましたが、インターネットを利用すれば、ほとんどコストを掛けなくても、広告にカラー写真や動画を使え、また、自分の意志で、何時でも、自由に、即座に宣伝できます。
 
 それにより、個人の発明家が自分の発明を世の中に宣伝することや、その発明の商品化への協力者を募ることや、発明を自分の手で商品化することが、以前より遥かに容易になってきたと思います。
 
 商品に魅力が有って、他で手に入らないものであれば、インターネットを使ったネット販売で、商品を直接販売することもでき、インターネットは発明家にとって有力な武器に成り得ると思います。
 
 インターネットを使って直接販売すれば、ただ商品を右から左へ動かすだけで利益を得ている卸商(一次、二次、三次、と多くの卸商が入っている事も有る)や、卸商が持ってきた商品を、ただ漫然と売っているだけで利益を得ている小売店など、既存の流通業者を通す必要が無くなり、その分の流通コストを省け、独占的な商品であれば、省いた流通コストの分もメーカーの利益とすることも出来ます。
 
 米国では、既に、株式売買は元より、一般的な商品まで、インターネットを使ったネット販売で盛んに販売されてい、自動車販売では、既に、ネット販売が可成りの割合を占めてい、ネット販売も一つの販売手段として定着しています。
 
 日本に於いても、既に、インターネットを使った株式売買が当たり前になってい、また、今後、大化けする可能性のあるネット販売に大手の小売業者も次々と参入しています。
 
 既に、インターネットを使ったネット販売で、相当な売り上げを挙げた企業に、税務署の査察が入って巨額の申告漏れが発覚した例も有り、今後、既存の流通業者を通さずに、売り手が買い手に直接販売する比率が高まっていき、既得権益の上にあぐらをかいているだけで、時代の変化に対応できない卸商や、小売店は淘汰されていくのではと思います。
 
 
 
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